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1.時代的宿命

[00:31.49]海角七号 - 時代的宿命
[00:39.49]口白:蔭山征彥
[00:47.49]
[00:03.45]1945年12月25日。
[00:09.88]友子、太陽がすっかり海に沈んだ。
[00:15.46]これで、本当に台湾島が見えなくなってしまった。
[00:21.15]君はまだあそこに立っているのかい?
[00:28.49]
[00:54.65]友子、許しておくれ、この臆病な僕を。
[01:01.41]二人のことを決して認めなかった僕を。
[01:06.45]どんなふうに、君に惹かれるんだったっけ。
[01:11.20]君は髪型の規則も破るし、
[01:14.55]よく僕を怒らせる子だったね。
[01:18.25]友子。
[01:20.30]君は意地張りで、
[01:22.75]新しい物好きで、
[01:25.65]でも、どうしょうもないぐらい君に恋をしてしまった。
[01:31.80]だけど、君がやっと卒業した時、
[01:35.30]僕たちは、戦争に敗れた。
[01:38.45]僕は敗戦国の国民だ。
[01:41.70]貴族のように傲慢だった僕たちは、
[01:44.65]一瞬にして、罪人のくび枷を科せられた。
[01:49.56]貧しい一教師の僕が、
[01:52.40]どうして民族の罪を背負えよう?
[01:56.78]時代の宿命は時代の罪。
[02:01.42]そして、僕は貧しい教師に過ぎない。
[02:05.69]君を愛していても、
[02:08.41]諦めなければならなかった。
[02:10.30]
奇幻的舞朵

[00:01.00]海角七號 - 奇幻的舞朵
[00:08.00]口白:蔭山征彥
[00:15.00]
[00:19.08]三日目。
[00:21.67]どうして君のことを思わないでいられよう。
[00:26.40]君は南国の眩しい太陽の下で育った学生。
[00:31.82]僕は雪の舞う北から海を渡ってきた教師。
[00:38.11]僕らはこんなにも違うのに、
[00:40.96]何故こうも惹かれあうのか?
[00:44.18]あの眩しい太陽が懐かしい。
[00:47.84]暑い風が懐かしい。
[00:52.22]まだ覚えているよ。
[00:55.21]君が赤蟻に腹を立てる様子。
[00:59.29]笑っちゃいけないって分かってた。
[01:02.25]でも、赤蟻を踏む様子がとても綺麗で、
[01:06.66]不思議なステップを踏みながら、
[01:09.31]踊っているようで、
[01:12.69]怒った身振り、激しく軽やかな笑い声。
[01:18.75]友子。
[01:20.27]その時、僕は恋に落ちたんだ。
[01:24.72]
彩虹

[00:00.30]海角七號 - 彩虹 口白:蔭山征彥
[00:05.50]
[00:06.71]友子。
[00:09.14]無事に上陸したよ。
[00:12.30]七日間の航海で、
[00:14.81]戦後の荒廃した土地にようやく立てたというのに、
[00:20.06]海が懐かしいんだ。
[00:24.11]海はどうして、
[00:25.72]希望と絶望の両端にあるんだ?
[00:29.54]これが最後の手紙だ。
[00:33.50]後で出しに行くよ。
[00:36.59]海に拒まれた僕たちの愛。
[00:39.43]でも、思うだけなら許されるだろう。
[00:43.90]友子、
[00:45.85]僕の思いを受け取っておくれ。
[00:49.04]そうすれば、
[00:50.53]少しは僕を許すことができるだろう。
[00:54.24]君は一生僕の心の中に居るよ。
[00:57.85]結婚して子供ができても、
[01:00.27]人生の重要な分岐点に来る度、
[01:03.30]君の姿が浮かび上がる。
[01:06.30]重い荷物を持って家出した君、
[01:09.39]行き交う人混みの中に、
[01:11.24]ぽっつんと佇む君。
[01:14.69]お金を貯めてやっと買った白のメリヤス帽をかぶって来たのは、
[01:19.78]人混みの中で君の存在を知らしめる為だったのかい?
[01:23.56]
[01:26.45]見えたよ。
[01:29.37]僕には見えたよ。
[01:33.05]君は、静かに立っていた。
[01:36.39]
[01:42.38]七月の激しい太陽のように、
[01:45.75]それ以上直視する事は出来なかった。
[01:51.21]君はそんなにも静かに立っていた。
[01:55.03]
[01:57.29]冷静に努めた心が一瞬熱くなった。
[02:02.78]だけど、心の痛みを隠し、
[02:05.51]心の声を飲み込んだ。
[02:09.60]僕は、知っている。
[02:12.44]思慕という低俗の言葉が、
[02:15.34]太陽の下の影のように、
[02:18.27]追えば逃げ、逃げれば追われ、
[02:22.70]一生・・・。
[02:23.72]
[02:54.72]あ、虹だ。
[02:56.84]
[03:07.15]虹の両端が海を越え、
[03:09.70]僕と君を、結びつけてくれますように。
[03:13.54]
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